【連載】看護に役立つチューブ・カテーテルの使い方

第2回 チューブトラブル低減のためのテープ標準化(ドレーン固定方法)

監修 日本コヴィディエン株式会社

シングルユース医療機器の製造及び販売、並びにこれらに関連する一切の事業


▼ドレーン(ドレナージ)について、まとめて読むならコチラ
ドレーンとは|ドレーンの種類と管理


チューブトラブル低減のための取組み

 チューブ・カテーテル類のトラブルはインシデント報告の中でも多くを占めています。

 そこで、今回は福岡県北九州市の産業医科大学病院 看護部の福田看護副部長、上中事故防止委員長、深川事故防止副委員長にチューブトラブル低減に向けた取り組みを伺いました。

産業医科大学病院の写真

はじめに

 当院でのインシデント報告の中で、ドレーン・チューブ類トラブルは毎月の報告数の3割前後を占めています。その原因の多くは、不適切な固定法やテープ選択によるものでした。そこで、テープの種類と固定方法を統一することが重要であると考え、テープ固定の標準化に取り組みました。

ドレーン・チューブトラブルの原因

1.テープ選択によるもの

1.基材
 シリコン系やフッ素系樹脂のチューブに対しゴム系粘着剤テープを使用した場合
 ⇒テープがチューブに粘着せずチューブがずれ脱落する。

2.粘着性
 脆弱な皮膚に対し粘着性が強いテープを使用した場合
 ⇒剥離刺激により表皮剥離が起こる。

 脆弱な皮膚に対し粘着性の弱いテープを使用した場合
 ⇒固定力が弱くチューブが脱落する。

3.伸縮性
 可動性のある部位へ伸縮性のないテープを使用した場合
 ⇒皮膚に緊張がかかることにより発赤や緊張性水疱形成が起こる。

2.固定方法によるもの

1.不十分なスキンケア
 発汗、皮脂、唾液などにより皮膚が汚染や浸軟している場合
 ⇒テープの粘着力が低下し、チューブが脱落する。
 ドライスキンにテープを貼ることで掻痒感が助長され、無意識な掻破によりチューブ抜去が起こる。
 ドライスキンのため、皮膚への粘着が悪くチューブが脱落する。

2.粘着性
 脆弱な皮膚に対し粘着性が強いテープを使用した場合
 ⇒剥離刺激により表皮剥離が起こる。

 脆弱な皮膚に対し粘着性の弱いテープを使用した場合
 ⇒固定力が弱くチューブが脱落する。

3.手技
 片側からテープを引っ張った状態で貼った場合
 ⇒皮膚に緊張がかかることにより発赤や緊張性水疱形成が起こる。

 剥離角度を考慮せずに勢いよく剥がした場合
 ⇒角質層を損傷することにより発赤や表皮剥離が起こる。

 テープの伸縮性を考慮せず可動性のある部位へ使用した場合
 ⇒チューブの脱落あるいは緊張性水疱形成が起こる

※同じテープでも切り方や貼り方で固定力に差が出る

改善策1.用途別にテープの種類と大きさを統一

(採用テープを19品目から5品目へ削減)
 ストマックチューブ
 膀胱留置カテーテル
 胸腔ドレーン
 硬膜外チューブ
 挿管チューブ
 末梢ライン 

【選択時のワンポイントアドバイス】

1.テープにより伸縮の程度や縦・横の伸縮性が違うためテープの伸びる方向と皮膚の動きを考慮

2.接触面積が大きいほど固定力はあるが、顔はボディーイメージを考慮
 鼻部分の固定は目立たない色とサイズ、かつ、チューブのずれ防止のためチューブにテープを1回巻きつける

3.感染防止のため外界から遮断する
 ⇒閉鎖式ドレッシング材の選択

 浸出液、膿などの吸収
 ⇒パッド付きドレッシング材

 刺入部の観察
 ⇒パッドなしドレッシング材

 チューブ脱落・抜去防止
 ⇒閉鎖式ドレッシング材とテープの併用

改善策2.皮膚の状態・症状を見てスキントラブルの有無を観察

1.皮膚の状態:脆弱な皮膚(浮腫・黄疸・発汗や唾液などによる皮膚の浸軟・菲薄化した皮膚) ドライスキンなど
2.皮膚の症状:乾燥.発赤.びらん.水疱など 
3.自覚症状:かゆみ.ヒリヒリ感.チクチク感.痛みなど

【観察のポイント】

1.皮膚が脆弱ではないか
2.テープに不必要な緊張をかけていないか
3.テープの粘着力は強すぎないか
4.テープ貼付前に皮膚に付着していたものはないか
5.テープの貼付期間と頻度はどうか
6.テープの貼付部位以外に皮膚炎はないか
※テープの材料物質がアレルゲンとなりアレルギー反応を起こす場合がある
 ⇒必要時パッチテストを行い反応が起こらないテープを選択
※カンジダを疑う(貼付部位にジクジクした皮膚炎・発赤・強い掻痒感)場合は鑑別診断が必要

改善策3.手技の統一

1.スキンケアの原則を守る
 スキントラブル予防:皮膚の汚れ・消毒薬・粘着剤の残りを除去し、皮膚を十分乾燥させる

【ワンポイントアドバイス】

脆弱な皮膚・圧迫固定・浸出液が多く皮膚が浸軟・頻回交換が必要な場合
⇒非アルコール性皮膜剤を接着面に塗布または噴霧
ドライスキンの場合は、保湿剤の外用(但し、接着面への軟膏類の塗布は粘着力を低下させるので注意!)

2.基本的な貼り方
・テープは引っ張らないで中央から外側に向け、接着面を指でなでるように皮膚に圧着させながら貼る
・伸縮性テープは可動時に皮膚の伸びる向きと、テープの伸びる向きを同一にして貼る
・繰り返し同じ部位へ貼る必要がある場合は、少しずらし同一部位へのテープ貼付を回避する
・屈曲部は少し曲げた状態で貼る

【ワンポイントアドバイス】

・ドレーン・チューブ類脱落防止のテクニック
 1. チューブが直接皮膚につかないようΩ(オメガ)留めでリフトを作る
 2. 固定をさらに強化する場合は、Ω留め+Y字切り込み(切り込み部分を重ね貼り)などで対応する
 3. 脱落や抜去リスクの高い場合は、必要に応じ補強のテープを貼る
   但し、テープを何枚も重ねて貼るとはがれやすくなる場合があるので注意!
 4. 体毛が濃い場合は除毛することもある

Ω留めしていない固定例

固定説明図

3.正しい剥し方
 ・周囲の皮膚を押さえてテープを折り返してゆっくり剥がす
 ・体毛がある場合は毛の走行に沿わせて剥がす
 ・皮膚とテープの角度は180度折り返す形にする 正しい剥し方説明図

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