【連載】急がば学べ! 呼吸のしくみ

ガス交換(外呼吸と内呼吸)のメカニズム

解説 宮川哲夫

昭和大学大学院 保健医療学研究科 呼吸ケア領域 教授

まず、呼吸ケアの基本中の基本である、呼吸とガス交換のメカニズムをおさらいしましょう。呼吸がどのようなもので、それによって体の中でどのようなことが起こっているのかを、ここでしっかり理解しておけば、血液ガスデータの意味や病態生理を正しく把握することができます。


ガス交換のしくみ

ガス交換とは、一口にいえば酸素と二酸化炭素のやりとりのことです。口や鼻から吸入された酸素は、気道から肺に入り、肺胞から血液中に取り込まれます。この酸素を含んだ血液が動脈血で、肺静脈を通って心臓の左房から左室をめぐり全身の細胞へと運ばれます。

細胞にたどり着いた酸素は、

細胞が食物中の栄養素から生命維持に必要なエネルギーを作り出すために使われます。このとき二酸化炭素が産出され、血液中に排出されます。

二酸化酸素を受け取った血液(静脈血)は、心臓の右房から右室、肺動脈を通り、肺胞で二酸化炭素を排出すると共に、酸素を取り込み動脈血としてまた全身へ巡っていきます(図)。

こうした流れの中で、吸気として酸素を肺胞に送り、肺胞から二酸化炭素を呼気として体外に排出することを「換気」、酸素と二酸化炭素のやり取りを「ガス交換」といいます。

ガス交換は、血液と肺胞内の空気との間で行われる交換(外呼吸)と、血液と胞間で行われる交換(内呼吸)の2つに区分されます。血液ガスデータから「酸素化を見る」と言ったきには、外呼吸によって血液中にどのぐらい酸素が含まれているかを見ることになります。

酸素と二酸化炭素の流れ説明図

(図)酸素と二酸化炭素の流れ

換気と呼吸運動

人間の体内では1分間に約250mLの酸素を消費しています。つまり換気が行われなくなると、約2分で体の酸素が尽きてしまうことになります。そんな換気を支えているのが呼吸運動で、主に横隔膜と肋間筋の働きによって成り立っています。

人間は、安静にしている場合、吸気時には、横隔膜が収縮し下方に引き下げられる動きと、肋間筋が収縮し肋骨が上の方へ引き上げられる動きによって、胸郭全体の体積を広げます。すると、胸腔の陰圧が強くなって肺が膨張し、空気が吸い込まれます。

そして、横隔膜と肋間筋が元の位置に戻ろうとする力で肺の中の二酸化炭素が排出されているのです。この呼吸運動については、換気量の約7割に横隔膜の動きが、あとの3割は肋間筋の動きがかかわっています。

(『ナース専科マガジン2012年12月増刊号 一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

次回は「ガス交換のメカニズム」について解説します。

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