【連載】難しい患者さんの日常ケア

安心安全!小さな歯ブラシで出血させない口腔ケア

解説 川本真規子

みなと赤十字病院 歯科衛生士

解説 藤田紀子

みなと赤十字病院 小児救急看護認定看護師

解説 大坪千智

みなと赤十字病院 看護係長

解説 向山仁

みなと赤十字病院 歯科口腔外科部長 歯科医師

出血傾向の患者さんにはこう対処する

出血傾向がある場合、全身的なものか、局所的なものかをまず鑑別することが大切です。

原因が全身的なもの

〔原 因〕

主な原因疾患は、血管異常、血小板異常、凝固因子の異常などです。カルテで疾患と処方薬、血液データ(白血球数、血小板数)をみて判断します。

〔対処法〕

どこから出血しているのか確認し、出血箇所を避けて、粘膜を刺激しないよう柔らかいブラシや小さい歯ブラシ(ワンタフトブラシ)で細かく磨きます。すでに出血していたり、歯肉が腫脹して出血の可能性が高い場合は、ワンタフトブラシで注意深く、できるだけ歯肉を刺激しないように清掃します。出血が続いている場合、ガーゼで圧迫して止血します。口唇や口腔内が乾燥していると、粘膜が切れて再び出血してしまうため、アズノール軟膏やワセリンなどでよく保湿します。

原因が局所的なもの

〔原 因〕

主な原因疾患は歯周病です。ほかに進行したう歯、事故などによる外傷、舌がんによる出血なども挙げられます。

〔対処法〕

歯周病の場合は、ケアの際に出血しても怖がらずに磨き続けることが大切です。プラーク(歯垢)を除去するため、歯と歯肉の間や歯と歯の間にたまった汚れを完全に取り除きます。「出血が止まらないと困るから」と、綿棒やスポンジブランで清掃していては、歯面に付着した歯垢を完全に除去することはできません。歯垢が付着したままでいると、歯垢中の細菌によって歯肉が炎症を起こし、さらに出血しやすくなります。柔らかい毛の歯ブラシやワンタフトブラシなどで、こまめに歯垢を除去し、出血の原因となっている炎症症状を改善させることが大切です。

出血の多くは、歯垢や歯石が付着している部分や食物残渣が貯留している部分にみられます。歯ブラシはヘッドが小さく、毛が柔らかいものを使用し、歯と歯茎の境目を細かく小刻みに動かして磨きます。

ワンタフトブラシ

(ワンタフトブラシ)



(ナース専科マガジン2014年4月号より転載)

ページトップへ