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心電図|異常の見方(モニター心電図)

解説 ナースプレス編集部

Webサイト「ナースプレス」編集部

*2016年9月1日改訂
*2016年12月19日改訂
*2020年4月24日改訂


目次


心電図の基礎知識

心電図とは

 心臓には、自ら電気信号を発生して心筋に伝達する、刺激伝導系と呼ばれる機能があります。この機能により、収縮・拡張の拍動が規則的なリズムで繰り返し行われ、全身に血液を送り出しています。心電図は、刺激伝導系から発せられる電気信号を体表面に貼付した電極で測定し、波形として記録するものです。

心電図の種類

 モニター心電図、12誘導心電図、運動負荷心電図、ホルター心電図が主に挙げられます。目的や場面により使い分けられます。

種類 目的、特徴
モニター心電図 ・持続的なモニタリングに適している
・不整脈や虚血性心疾患による入院患者さん、急変リスクのある患者さんに用いられる
12誘導心電図 ・1回の検査で12種類の波形が得られる
・健康診断、救急外来での診断、術前検査などで用いられる
運動負荷心電図 ・心臓に負荷がかかった場合の波形を記録できる
・安静時には表れない異常を検出するために用いられる
ホルター心電図 ・1日24時間の波形を記録できる
・発作的に起こる不整脈、狭心症などを検出するために用いられる

心電図の記録紙

 記録紙は1mm四方の小さなマスを1コマとし、5mmごとに太い線が入った方眼紙になっています。通常の紙送りの速度は25mm/秒で、横軸は時間(秒)を、縦軸は電位(mV)を表します。25mmが1秒に相当するため、横軸の1mmは0.04秒に、1分(60秒)は1,500mmとなります。電位については、1mmが0.1mVに相当します。

小さなマス(1mm四方) 大きなマス(5mm四方)
縦軸(電位) 0.1mV 0.5mV
横軸(時間) 0.04秒 0.2秒

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波形の意味と特徴

 それぞれの波形が何を表しているかを理解することは、心電図を正しく判読することにつながります。

波形 意味・特徴
P波 心房の興奮(収縮)を表す波形。P波の前半は右心房の興奮、後半は左心房の興奮を示し、これらが合わさりP波を形成している
QRS波 心室の興奮を表す波形。最初に現れる下向きの波形をQ波といい、心室の興奮の始まりを示している。続く上向きの波形はR波で、心室が最も収縮している地点。最後に現れる下向きの波形はS波といい、心室の興奮の終わりを示している
T波 心室の興奮が消失し、元に戻る様子を表す波形。山型に現れるのが特徴
U波 T波に続いて現れる小さな波形を指す。正常ではみられないこともある
PQ間隔 P波の開始からQRS波の開始までの時間。心房の興奮が心室に伝わるまでの時間(房室伝導時間)を表す
QT間隔 QRS波の開始からT波の終了までの時間。心室興奮の始まりから興奮が消失するまでの時間を表す
RR間隔 QRS波から次のQRS波までの時間。心室興奮の開始から次の心室興奮までの時間を表す

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基準値(正常値)・異常値

 波形が表す意味や特徴と併せて数値を理解することで、心臓のどこにどのような異常が生じているのか読み取ることができます。

基準値(正常値) 異常値
心拍数 1500/RR間隔(mm)
60回/分以上、100回/分未満
60回/分未満:徐脈
100回/分以上:頻脈
P波 幅:2.75mm(0.11秒)未満
高さ:2.5mm(0.25mV)未満
幅:2.75mm(0.11秒)以上:左房負荷
高さ:2.5mm(0.25mV)以上:右房負荷
QRS波 1.5mm(0.06秒)以上、2.5mm(0.10秒)未満 2.5mm(0.10秒)以上、3mm(0.12秒)未満:不完全右脚ブロック、右室肥大、左室肥大など
3mm(0.12秒)以上:完全脚ブロック、心室性期外収縮、心室内変行伝導、WPW症候群など
PQ間隔 3mm(0.12秒)以上、5mm(0.20秒)未満 3mm(0.12秒)未満:WPW症候群など
5mm(0.20秒)以上:房室ブロックなど
ST部分 基線上 上昇:心筋梗塞、心筋炎など
下降:心筋虚血、心肥大など
QT間隔 0.36秒以上、0.44秒未満 延長:低カルシウム血症、低カリウム血症、QT 延長症候群など
短縮:高カリウム血症など

心電図からわかること

 拍動リズムの乱れや心筋の異常、心筋壁の厚さ、治療効果などがわかります。リスクの高い疾患の検出に役立ちますが、不整脈や狭心症では、発作が起きている状態でないと波形に異常がみられないこともあるため注意が必要です。
 

心電図でわかる主な疾患

・不整脈
・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
・心筋炎・心筋症
・心房・心室肥大

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読み方のポイント

 基本は、正常な波形を読み取れるようになることです。正常な波形ではないことに気づけるかどうかが、異常発見の鍵となるためです。正常な波形を読むときのポイントは、規則的なリズムをもつ洞調律(不整脈がない)か、P波・QRS波・T波の形状に異常がないか、各波形から得られた数値が正常かどうかを確認することです。

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不整脈の特徴を知ろう

 異常波形を発見するためには、異常があったときにどのような波形になるのかを知っておくことが大切です。代表的な異常波形にはどんな波形の特徴がみられるのか、さらに主な症状や原因などについても、知っておきましょう。

緊急度の高い心室細動と心室頻拍

 心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)と心室細動(ventricular fibrillation:Vf)異常波形のなかでも特徴的な波形を示し、緊急度が高くなります。心電図が苦手でも、この波形は覚えているという人も多いのではないでしょうか。Vfは心臓のポンプ機能が完全に失われている状態であり、緊急対応が必要となりますし、VTも同じように緊急対応が必要です。

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P波に異常が表れる主な不整脈

 心房に電気刺激が伝わっていく様子を表しているのがP波です。心房に異常があることによって引き起こされる不整脈では、P波に異常が現れます。心房期外収縮(atrial premature contraction:APC)では、異所性P波がみられ、心房粗動(AF)ではP波は見られず、のこぎりの歯のようなF波が見られます。心房細動の波形でもP波は見られず、f波がみられるといった特徴があります。さらに、発作性上室頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia:PSVT)では、QRS波に重なったり、逆行性P波がみられます。

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QRS波に異常が表れる主な不整脈

 心室に電気刺激が伝わっていく様子を表しているのがQRS波です。心室で異常が起こっている場合は、QRS波に異常が表れます。心室期外収縮(PVC)では、早いリズムで表れるQRS波がみられます。さらにそのQRS波は幅が広くなっていて、特にR波とT波が重なって表れるR on T型は心室細動などの致死性不整脈に移行する可能性があり、危険です。心室頻拍(VT)でもQRS波が異常波形となって表れます。

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PQ間隔に異常が見られる主な不整脈

 PQ間隔に異常があるということは、心房から心室への電気刺激の伝導が障害されていると考えられます。PQ間隔に異常が見られる代表的な波形には、房室ブロック(AVブロック)があります。房室ブロックは、I型、ウェンケバッハ型、モビッツII型、高度房室ブロック、完全房室ブロックといった種類に分けられ、モビッツII型、高度房室ブロック、完全房室ブロックは緊急対応が必要となります。

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心筋梗塞と狭心症で見られる不整脈

 心筋梗塞と狭心症では特徴的な異常波形がみられます。急性心筋梗塞では、異常Q波や冠性T波、STの変化がみられます。労作性の狭心症では、ST部分の水平降下、異型狭心症の場合は、一過性のST上昇がみられます。

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不整脈の看護で気をつけること

 すべての不整脈に治療が必要なわけではありません。どのような不整脈であると治療が必要なのか、治療が必要な不整脈に関して看護師が気をつけなければならないことは何かを知っておきましょう。

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 緊急度の低い不整脈でも注意しなければならないことがあります。特に発作性心房細動は、血栓塞栓症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。そのほか、心疾患を既往にもつ患者さんに不整脈がみられたら要注意です。

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不整脈・心電図を書籍で勉強するなら

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