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【連載】急がば学べ! 呼吸のしくみ

第3回 血液ガスデータで呼吸状態を評価する

解説 宮川哲夫

昭和大学大学院 保健医療学研究科 呼吸ケア領域 教授

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まず、呼吸ケアの基本中の基本である、呼吸とガス交換のメカニズムをおさらいしましょう。呼吸がどのようなもので、それによって体の中でどのようなことが起こっているのかを、ここでしっかり理解しておけば、血液ガスデータの意味や病態生理を正しく把握することができます。


血液ガスデータが示すもの

呼吸状態が正常であれば、動脈血は十分に酸素を含んでいなければなりません。つまり、動脈血中に含まれる酸素や二酸化炭素などの成分を分析すれば、呼吸の状態を判断することができるというわけです。それが血液ガス分析です。

皆さんが手にする血液ガス分析の結果には、表のデータが示されていると思います。

PaO2とSaO2からは「酸素化」が、PaCO2からは「換気」、HCO3からは「代謝(腎機能)」、pHからは「酸塩基平衡」がわかります。ここでは、主に呼吸の状態を示すPaO2、PaCO2、SaO2について述べておきます。

[PaO2]

酸素化の能力を表しています。この値が高いほど、血液中に酸素が行き渡っていることになります。PaO2は、高齢になるに従って低下していくため、年齢によってその正常値は異なります。「105-0.3×年齢」がその平均値で、正常値の目安となります。ただし、これは仰臥位の場合で、座位で測定した場合は「105-0.4×年齢」になります。

[PaCO2]

肺の換気能力および二酸化炭素を排出する能力がわかります。この値が高いと二酸化炭素が溜まっていることになり、二酸化炭素が十分に排出されない低換気の状態を示します。逆に、値が低いときは、換気をし過ぎている過換気の状態となります。

[SaO2]

血液中のヘモグロビンがどの程度酸素と結合しているかを示しています。酸素の多くは、ヘモグロビンと結合して全身に運搬されるので、PaO2と同じく重要な酸素化の指標です。

(表1)血液ガス分析で得られるデータ

次のページは「血液ガスデータから見る呼吸不全」について解説します。