【連載】知っておきたい! がんのリハビリテーション

第5回 がんのリハビリで看護師に求められる役割5カ条

解説 栗原 美穂

国立がん研究センター東病院 看護部 がん性疼痛看護認定看護師

解説 岡田 教子

国立がん研究センター東病院 看護部 摂食・嚥下障害看護認定看護師

解説 源 典子

国立がん研究センター東病院 外来 乳がん看護認定看護師

編集 ナース専科編集部

月刊「ナース専科」編集部

がんのリハビリテーションでは何を行い、看護師はどのようにかかわることができるのでしょう。看護師に求められる役割5カ条について、国立がん研究センター東病院の皆さんに話を聞きました。


1カ条 リハビリチームのコーディネーターになる

一般的なリハビリ同様、がんのリハビリも、医師、リハビリ療法士、看護師、MSW、栄養士などのチームによって展開されます。

このように多職種がかかわる場合、それぞれの専門職の連携を図り、調整を行うコーディネーターとして、24時間患者さんの側にいる看護師が最適になります。

患者さんの病態や身体機能については、医師やリハビリ療法士にもわかりますが、その人が現在どういう要望をもち、家庭の状況はどうなっているのかなどの細かな情報は、患者さんと常に接している看護師が最も把握しやすい立場にあります。

そして、それらはさまざまな場面からキャッチすることができるのです。患者さんがふともらした一言や訴えを、聞き流すか、受け止めるかによって、リハビリプランが大きく異なってくることもあります。

このようにして、日常のなかでキャッチした情報に応じて、どの専門職が、どの時期に、どの場面で介入すればいいのかをコーディネートし、それぞれの職種に対して調整を図ります。

2カ条 自己マネジメントに結びつくオリエンテーションを行う

治療(手術療法、化学療法、放射線療法)前に十分なオリエンテーションを行うことから、がんのリハビリはスタートします。

患者さんは主治医から一度説明を受けているはずですが、きちんと理解・認識していないことも多いため、看護師は患者さんの理解度を確認しながらオリエンテーションを実施します。

中でもいちばん重要なのは、治療前の説明よりも、むしろその後の経過をきちんと提示することです。

これが、身体的な変容や社会復帰などに対して抱えている、不安や疑問の軽減につながります。

経過を知ることによって、患者さんは自分の置かれている状況を受け止め、セルフケアに向き合うことができるようになります。人によっては受容までに時間がかかるかもしれませんが、様子をみて、根気強くアプローチすることが大切です。

これは、リハビリが始まってからにもいえることです。

例えば、術後に体力が低下し立ち上がりにも不安が生じてしまった患者さんに対して、「今はこの状態ですが、リハビリをすれば徐々に歩けるようになるので大丈夫ですよ」と、先の見通しを説明することで、患者さんは安心し、リハビリに向き合えるようになります。

3カ条 患者さんをアセスメントしリスクを見極める

術後の患者さんなら術後合併症の有無を、化学療法後の患者さんなら抗がん剤の副作用の有無を中心に、全身状態をアセスメントし、リハビリを行っても問題がないかどうかをみていきます。

緩和的リハビリにおいては、病態が急速に変化することがあり、この場合は速やかに目標の変更、または内容の調整を行います。

このような評価や変更・調整などの情報は直ちにリハビリ療法士やその他のスタッフと共有することが大切です。

リハビリ療法士が患者さんを訪室する前に、合同カンファレンスを行い、患者さんの病態に応じた方向性を確認し、意思の統一を図るようにします。倦怠感などで

患者さんの気分や意欲にムラが出てきたような場合も同様の対処が必要です。

4カ条 生活全般について安全面を評価・管理する

患者さんが、安全・安楽に生活するための補助具(手すり、杖、車椅子など)の選定や使用方法などについては、リハビリ療法士の介入につなげることと、患者さんが補助具を正しく使用できているかどうかを継続的に観察・評価することが、看護師の大きな役割になります。

また、ベッドサイドなど療養環境については、患者さんの動線などを考慮して、転倒・転落を防止するような環境整備を行うことも重要です。

5カ条 患者さんや家族の視点に立ったサポートを行う

具体的アプローチを行う場合に最も大切なことは、看護師が常に患者さん、あるいは家族の目線になって考え、同じ気持ちで支えていくことです。

ともすると、設定された目標に向かって、医療スタッフだけが頑張ってしまい、患者さんにとってリハビリが苦痛なものになっているかもしれません。

また逆に、「痛いから」という患者さんの訴えをそのまま受け入れてしまい、患者さんをいつまでもベッド上に安静臥床のままにしてしまうと、身体の機能低下や廃用症候群を招くことになります。

看護師はリハビリが患者さんの気持ちの充、やりがいにつながるような働きかけ、精神面でのサポートを行うことが大切です。

その場合、リハビリをより受け入れやすくするため、看護師はリハビリ療法士からアドバイスをもらって、患者さんが苦痛を感じない起き上がり方、歩き方のコツなどを頭に入れておき、介助を行うことも必要になります。

(『ナース専科マガジン2010年9月号』より転載)

次回は「予防から回復までのリハビリテーションの流れ」について解説します。

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