【連載】急変の判断と対応

痙攣への急変対応 5ステップ

執筆 山下 将志

聖マリアンナ医科大学病院 救命救急センター・熱傷センター 集中ケア認定看護師

急変に遭遇!そんなときに慌てず焦らず処置を行うには、急変対応を繰り返しおさらいしておくことが必要です。
今回は、「痙攣」という緊急度の高い事態への対応を解説します。


ステップ1 その場を離れず応援を呼ぶ

全身の痙攣を発見したときは、すぐにナースコールを押して医師や看護師の応援を要請します。

応援を要請する際は、痙攣していること、意識と呼吸の有無を簡潔に伝えます。

その後、発見者はその場を離れず、全身の観察や気道の確保、安全の確保を行います。

やってはいけない!舌咬み防止の詰めもの

痙攣発作時に患者さんが舌を咬むのを予防するために、ガーゼやタオルなどを口につめると、気道閉塞を起こす危険性があるため行ってはいけません。

強直性発作時には咀嚼筋も強直するため、バイドブロックの挿入は歯の損傷の恐れがあるため行いません。

痙攣とは?

痙攣は脳に異常な活動電位が発生し、その刺激が運動神経に伝わって生じます。

異常な活動電位が大脳皮質全体で起こる「全般発作」と脳の限局した部分で発生する「部分発作」があります。

また、全般発作の中には強直性痙攣と間代性痙攣があります。

  1. 強直性痙攣・・・持続的な筋の収縮により四肢の強直が起こります
  2. 間代性痙攣・・・筋収縮と弛緩が交互に起こります

痙攣の原因は、

  1. 脳血管障害、脳腫瘍、中枢性感染症、頭部外傷などの脳性
  2. 電解質異常、代謝障害、中毒、低酸素、小児の項ねなどの脳外性

に分類されています。

痙攣が止まらない状態を痙攣重責といい、慢性の脳の疾患で反復性に起こる痙攣をてんかんといいます。

【▼痙攣や痙攣のアセスメントについて詳しく学ぶならこちら】
* 痙攣とは?痙攣の種類と原因、アセスメントのポイント

ステップ2 全身を観察する

意識障害の有無や呼吸状態、痙攣の状態を観察します。
痙攣の状態ついては、全身性/限局性、強直性/間代性、運動麻痺の有無や眼球の偏位などを観察します。

また痙攣が続いている時間の経過を把握します。

ステップ3 気道を確保する

意識障害を伴う痙攣の場合は、無呼吸状態となることがあります。

呼吸状態を観察して呼吸がない場合は、頭部後屈顎先挙上法で、気道を確保します。

気道確保の方法、実践写真

気道確保の方法

気道を確保したら、バックバルブマスクやジャクソンリースによる徒手的な補助換気を行います。

呼吸状態がある場合でも舌根沈下により低酸素となりやすいため、衣服をゆるめ、ゆっくりと呼吸が出来る状態をつくります。

顔や唇のチアノーゼは低酸素を示す徴候であるため、酸素投与を行います。

口腔内に泡状の唾液や嘔吐物がある場合は、顔を横に向けて吸引します。

顔を横に向けることができない場合は、側臥位にすると誤嚥を予防できます。

意識障害がある場合や痙攣が止まらない場合は、気管挿管などの処置を行うことも考えれるので、救急カートを用意します。

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ステップ4 環境を整えて安全を確保する

痙攣発作中は思いもよらない動作によって外傷を起こす危険があります。

患者さんがケガをしないように、安全な環境を整えます。

ベッド上ではベッド柵を設置して転落を予防します。

その際、ベッド柵に体をぶつけないように毛布で保護します。

ステップ5 モニターを装着し静脈路を確保する

患者さんの状態をより詳しく把握するために心電図やパルスオキシメーターなどのモニターを装着します。

静脈路を確保する際には、痙攣により安静が保てない場合があるため、針刺し事故に注意します。

痙攣発作を頻繁に起こす危険性がある患者さんの場合は、事前に静脈路を確保しておきます。

痙攣が続いていれば、ジアゼパムを静脈注射します。

ジアゼパムを投与する際は呼吸抑制が起こることがあるため、酸素投与や徒手的補助換気の準備を行います。

ステップ6 継続して観察する

痙攣が落ち着いたときに、意識障害がなくて運動麻痺やバイタルサインの異常がなければひとまず安心できますが、再び痙攣発作を起こす危険性もあります。

ナースステーションに近い部屋への移動や発作時の対応について医師と相談します。

全身発作のあとは運動麻痺や意識がもうろうとして正確な状況判断が不十分なために転落などの危険性があります。

痙攣のあとに離床や食事などを行う際は看護師の見守りや付き添いを考慮します。

痙攣時のアルゴリズム

痙攣時のアルゴリズム

(『ナース専科マガジン』2015年1月号から改変利用)

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