【連載】逝去時のケアを極める

エンゼルケア時に家族へのグリーフサポートが必要な3つの場面

執筆 古井 奈美

東京都健康長寿医療センター 緩和ケア認定看護師

家族へのグリーフサポートが必要な3つの場面について解説します。


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エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


場面1 臨死期

 臨死期には、予期悲嘆を理解して関わることが必要です。患者さんの予期悲嘆に対しては、精神的サポートや配慮が行われますが、家族の予期悲嘆についても、同様の配慮が求められます。

 特に以下のような場合、家族の心残りとなる場合が多くあります。

 1. 患者さんに苦痛症状があるとき
 2. 身体拘束など患者さんの尊厳が保たれていないと感じるとき
 3. 家族と患者さんとの関わりが十分ではなかったとき

 このようなときは、以下のようなケアが重要になります。

 1. 患者さんの症状緩和に努める
 2. 尊厳を守られていると感じてもらえるケアを行う
 3. 終末期医療やケアに対する患者さん・家族の意向について事前確認をする

 生存中のケアひとつひとつが死別後のグリーフに影響することを念頭に置いて、患者さんのケアに望むことが大切です。

場面2 看取り~臨終時

 残された家族は、グリーフプロセスをたどることになります。患者さんに提供する逝去時ケアが家族のグリーフプロセスに影響することもあるため、医療者はエビデンズに基づく逝去時ケアとともに家族の意向を取り入れたケアを提供する必要があります。

 家族は以下のような様々な反応を示します。


 1. 泣き崩れる
 2. 医療者に怒りをぶつける
 3. 淡々と事務的な手続きを行う
 4. 何をしてよいのかわからず途方にくれる

 このようなときは、ベッド柵を外し、少しでも患者さんの近くに寄れるような環境整備、霊安室での待機や退院(離院)などの配慮を行いましょう。

場面3 逝去時ケア時

 死亡診断後、お悔やみの言葉をかけた後に、家族の承諾を得て患者さんに使用していた心電図モニターや点滴、酸素ルートなどを除去し、家族だけでお別れの時間がもてるようにします。また、逝去時ケアに参加するか意向を確認します。

 逝去時ケアはまだ温かい故人の身体に触れる最期の機会です。ケアへの参加を強要する必要はありませんが、家族も自分が何をすればよいかわからないことが多いので、手を拭く、髪をとかす、衣服を整えるなど、ご家族でも行えるケアを提案してみましょう。

 家族が逝去時ケアに参加した経験は、遺族調査においても高い評価が得られています。また、逝去時ケアを行う最中に、自身の感情を表出したり、故人を偲び語ること、看護師と故人に対する思いを分かち合うことは、ご家族のグリーフワークであると考えます。

(『ナース専科マガジン』2015年2月号から改変利用)

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