お気に入りに登録

【連載】逝去時のケアを極める

エビデンスに基づくエンゼルケア、できていますか?

執筆 伊藤 茂

長沙民政職業技術学院 遺体管理学 教授

577b73bc09b7fc98fca5aa780d36d896

逝去時ケアのエビデンスについて解説します。


医師や看護師はエビデンスに基づいた処置を行うべき

国内のご遺体に関する情報を考えると、実はその多くにはエビデンスが存在していません。

これは国内にご遺体に関する学問や教育が存在しないために生じる問題です。

また、葬儀は経験により語られ行われる分野であり、葬儀関係者によるご遺体の話には科学的根拠を見出すことができないのが、現実です。

そのため、100人のご遺体処置従事者がいれば、100の考えと100の処置法が存在しています。

しかし、医療現場にいる医師や看護師はエビデンスに基づいた処置を行うべきです。

メイクや着付けなどは経験則でよい分野ですが、ご遺体の変化や処置、ご家族への接し方などには、エビデンスに基づいたものでなければ悪影響が多くみられます。

エビデンスには再現性を伴う

エビデンスには科学的な証明ができ、なおかつ再現性が求められます。

例えば、メイクの場合、誰が行っても効果が現れる必要があり、目的が明確である必要があります。

メイクの大きな目的は医学的に起こり得るご遺体変化(悪化)の防止や抑制です。

重要なのは伝承ではなく合理性

看護師の中には、逝去時のケアに対して思い入れが強く、エビデンスを優先できないという人もいるでしょう。

ご遺体に対しても儀式的パフォーマンス部分が多く存在しており、口腔・鼻腔・肛門に綿を詰める処置もそのひとつといえます。

医療機関でこの処置を行うのは「日本特有」です(葬儀現場でもエンバーミング後の薬剤や有害ガスの漏えいを防ぐ目的以外で行う国は、非常に少ないのが現状です)。

エビデンスがあれば、多くの国でも行うはずですが、これらを行わない理由は根拠がなく、合理的でないためです。

(『ナース専科マガジン』2015年2月号から改変利用)