【連載】逝去時のケアを極める

逝去時のケア【下顎を閉じるケア編】

執筆 野島 陽子

地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 皮膚・排泄ケア認定看護師

逝去時のケアの方法とポイントについて解説します。今回は【下顎を閉じるケア】についてです。


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エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


下顎を閉じる主なケアの手順

丸めたタオルを顎の下に置き、枕で角度を調整し、自然と閉じるよう前傾にします。口が開いてしまうからといって絶対に縛ってはいけません。

【理由】

 縛ることで縛った部位はうっ血し、局所的浮腫が生じます。その結果、顔は腫れて膨張するため、生前の顔とは別人のようになってしまいます(下図)。

 口を閉じることは口腔内の乾燥を避けるためにも必要なことです。しかし、硬直期に硬く固まった口も、数日後、弛緩期によってまた緩む・開口するということを理解しておく必要があります。

 それを踏まえたうえで、縛ってまで口を閉じる必要があるのかということを、ご家族とともに考えてはどうでしょうか。患者さんに今後生じる不可逆的な変化を最小限に抑えるためのケアを優先するべきだと思われます。

下顎を閉じる主なケアの手順

閉口器(チンカラー®)について

 閉口器(チンカラー®)を用いる病院・施設も多いようですが、使用する際は、きちんとその患者さんに合ったサイズを選択し、前後を逆にしたりせず正しく使用します。

 合わないサイズや誤った方法での使用は、逆にうっ血させて皮膚の変色をきたしたり、表皮を剥離するなどの皮膚トラブルの原因となります(下図)。

 また、亡くなられた直後の使用は、うっ血や頸静脈の怒張をきたすので注意が必要です。

閉口器(チンカラー®)使用の場合のイメージイラスト

(『ナース専科マガジン』2015年2月号から改変利用)

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