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【連載】野原幹司先生のこんな時どうする!?摂食嚥下ケア

第13回 摂食嚥下障害の臨床Q&A「窒息を回避するには?」

監修 野原 幹司(のはら かんじ)

大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座 顎口腔機能治療学教室

執筆 田中 信和(たなか のぶかず)

大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座 顎口腔機能治療学教室

本連載では、摂食嚥下障害を初めて学ぶ方も理解できるよう、摂食嚥下障害の基本とともに、臨床症状や実際の症例を通じて最新の嚥下リハ・ケアの考え方を解説します。


意思疎通が困難で食事介助が必要な患者さんについて。食事介助中の窒息の事例を何件か聞いたことがあります。特に高齢者の食事介助時に窒息を予防するために気を付けるポイントはありますか?


近年、窒息による年間死者数は交通事故死を上回るほど増加しており、窒息の予防は重要な課題です。しかも、窒息事故の多くは高齢者に起きます。今回は、「食前」、「食中」、「食後」の3つの視点から窒息を防ぐ方法を考えてみます。

1.食事の開始前に確認したいこと

覚醒の状態

覚醒の良否は、嚥下や咳反射に直接影響するため、食前にはしっかりと覚醒していることが理想です。

食事時の覚醒が悪くなる原因はいくつか考えられますが、昼夜逆転などの生活リズムの問題や睡眠薬や抗不安薬による傾眠の影響(特に朝食時)などが比較的多く見られます。

このようなときには、食事前の口腔ケアなど口腔内外への刺激が覚醒を促すのに有効なことがあります。また薬剤の影響を疑う場合は、投薬の見直しが有効なことがあるため、主治医と相談してみましょう。

口腔の状態

口腔機能に適した形態の食事を提供することは、窒息を回避する上で最も大切なポイントの1つです。

かみ合わせ(特に奥歯)が保たれているかを確認し、「かみ合わせがなく義歯の使用もない」人は、咬まなくても(舌で潰して)丸飲みできる食形態で一度様子をみたほうが良いでしょう。

また意外に多いのが、義歯の装着忘れです。入院中や絶食時に義歯を外していると、食事が再開された時に義歯の装着を忘れたまま普通食が提供されてしまうことがあります。

その結果、義歯がなければ噛めない、潰せない食形態を提供してしまうことになり窒息のリスクを高めます。この義歯の装着忘れは、頻繁に起こるため特に注意してください。

その他にも姿勢の設定なども重要なポイントですが、第10回での説明を参考にしてください。

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