【連載】500人のギモン&お悩み徹底解決

内視鏡治療でSpO2が低い場合の注意点

解説 馬場由美子

千葉大学医学部附属病院看護部 ひがし棟2階 副看護師長

解説 久成洋子

千葉大学医学部附属病院看護部 手術部 副看護師長

Q 内視鏡治療時には、患者さんは2~3時間にわたって左側臥位の状態のままですが、特にSpO2の値が低い場合に気をつけなければならない点はあるのでしょうか。

A 既往歴や気道狭窄、麻酔量などによってSpO2に変化が生じます。酸素投与を行い、回復状況を観察します。

SpO2低下の原因は3つある

内視鏡治療中にSpO2(酸素飽和度)が低くなる原因としては、次の3つが考えられます。

(1)呼吸機能の低下が予測される状態の存在、例えば、喫煙習慣の程度や、間質性肺炎・喘息など閉塞性肺疾患の既往などです。
(2)睡眠時無呼吸症候群や頭頸部の手術経験など気道狭窄を招くような状態の有無です。
(3)治療中の誤嚥によるSpO2低下が考えられます。

以上を踏まえてアセスメントし、対応を考える必要があります。

内視鏡治療中に行う静脈麻酔にも、肺の既往症がなくても呼吸が抑制されるというリスクがあります。患者さんの状態により医師の指示は異なりますが、通常は、予防的に酸素を2l/分程度を投与した状態で静脈麻酔を行います。

食道・胃・十二指腸の治療は左側臥位で行いますが、腹圧を軽減し体位を安定させるために膝を軽く曲げた体位を工夫します。また、治療中には、スコープの挿入と抜去による嘔吐反射によって体動がみられることがありますが、なるべく左側臥位が崩れないように枕などをあてます。

観察ポイント

観察ポイントは、治療の進行状況に応じた、血圧・脈拍の変化から読み取れる循環動態、顔色および口唇色とSpO2の変化からの呼吸状態、体動や表情から痛みの程度などです。治療中にSpO2が低くなった場合には、治療の進行状況に応じた対応が求められます。酸素投与量を増やしてSpO2の回復状況を見ながら、低下の原因を探り、治療続行が可能かどうかの判断を行います。変化した状態の情報を速やかに医療者が共有し、生命の危険を回避し、侵襲が最少限に抑えられるような対応を迅速に行うことが重要です。

次ページでは、内視鏡治療時に気をつけたいことを解説します。