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【連載】これだけできれば大丈夫! 病棟で必要な人工呼吸ケア

人工呼吸器が必要な患者さんとは?

解説 和田 希

湘南鎌倉総合病院  慢性呼吸器疾患看護認定看護師

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人工呼吸器が必要な患者さんとは?

まずは、生命維持が危機的な状況にあって、酸素投与だけでは酸素化が不十分であり、呼吸困難を併発したり、強い呼吸努力がある場合に、人工呼吸器が装着されます。また、肺疾患や心疾患などによる呼吸不全をきたしている患者さんや、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの2型呼吸不全で呼吸性アシドーシスをきたし、NPPV(非侵襲的陽圧換気)では改
善されない患者さん、侵襲の大きい心臓外科手術の術後などの患者さんに対し、人工呼吸器を用います。

具体的な病態としては心肺停止、換気不全や酸素化不全を呈する各呼吸不全、重症うっ血性心不全、脳圧亢進の中枢神経疾患、多発性肋骨骨折、重篤な外傷や疾患、などが挙げられます。

人工呼吸器にはどんな種類があるの?

一口に人工呼吸器といっても、いろいろな種類があります。まず、気管挿管チューブなどの人工気道を留置して換気を行うIPPV(侵襲的陽圧換気)と、人工気道を留置しないNPPV(非侵襲的陽圧換気)に分けられます。一般に「人工呼吸器」というときは、IPPVの陽圧式人工呼吸器を指しますが、その場合も「挿管」や「気管切開」などによって人工気道に接続するものがあります。本稿では特に記述のない限り、挿管による侵襲的陽圧換気(IPPV)を指します。

さらに体外から圧力をかけて、肺胞内を陰圧にする体外式人工呼吸器があります。

緊急蘇生時に用いられる手動式人工呼吸器としては、バッグバブルマスクやジャクソンリース回路などがあります。さらに小児用人工呼吸器、在宅用人工呼吸器などがあります。

NPPVの効果と禁忌ーメリット・デメリット

 NPPVは気管挿管をしない人工呼吸器のことで、鼻マスクや顔マスクを使用する非侵襲的な陽圧換気による人工呼吸法です。

 短期的な効果としては、呼吸困難感の改善や気管内挿管頻度の減少、呼吸仕事量と疲労の軽減、酸素化の改善などがあります。長期的な効果には、死亡率の減少や予後の改善、入院日数の短縮、医療コストの軽減などがあります。ただし、NPPVの構造や機能的に、禁忌となる病態があるので、注意が必要です。

 最大のメリットは、挿管をしないので患者さんの侵襲が少なく、一時的に早期に人工呼吸を開始でき、中断も可能なことです。また、挿管時の低酸素や誤嚥、気道損傷がない、気管チューブの長期留置に伴う声帯浮腫が生じない、VAPのリスクの低下、鎮静薬などの薬剤の不要または減少、などのメリットもあります。

 デメリットは、気道確保ができないので誤嚥の危険性がある、気道と食道の分離が困難なので腹部膨張感や嘔吐の危険性がある、高い気道内圧がかけられないために、病態によっては十分な換気が得られない、マスクによる不快感や皮膚の損傷などが挙げられます。

 このようなメリットとデメリットを十分に検討した上で、しっかり適応を見極め、患者さんが正しく理解し、協力が得られるように、十分な説明を行います。

(ナース専科マガジン2014年6月号より転載)