【連載】「困った」を解決する!心電図の読み方のコツQ&A

波形はこうして現われる! 心筋が発する電気信号の流れ

執筆 田中喜美夫

田中循環器内科クリニック 院長

Q.それぞれの心電図の波形(P~T波)と心臓の収縮はどのように関連しているのですか?

A.P波は心房収縮、QRS-T波は心室収縮-回復による波形です(図1)。

心房・心室の収縮と波形の関係

 P波は心房の収縮により発生した洞結節の電気信号の集合体で、洞結節が信号を出し、心房収縮が始まり、信号が心房に行き渡るまでを示します。これを洞性P波といいます。ちなみに、P波は洞結節以外の場所で発生することもあり、この場合は異所性P波といいます。
 
 この電気信号による興奮波(P波)が房室結節に集約され、時間差をおいてから、ヒス束-脚-プルキンエ線維を通って短時間で心室を収縮させると、P波から一定間隔をおいた幅の狭いQRS波が出現することになります。また、T波は心室興奮の回復過程で、ST-T部分は心室の状態を反映します。
 
 つまり、心電図に出現している波形は、心房由来か心室由来かのいずれかということになります。
 


理解度UPのおさらい モニター心電図の目的と意味は知っていますか?

 12誘導心電図とは、電気信号による興奮波を12方向からみて異常を判定するもの。モニター心電図は、基本的にこのうちの1つの誘導により、長時間、経時的に観察し、主に不整脈を監視します。最初の設定ではⅡ誘導が描出されます(図2)。

電気信号の伝導方向と誘導

 洞結節から出た電気信号は、心房全体でみると右上から左下に伝導します。心室も左心室の筋肉量が多いため、信号の伝導方向は右上から左下になります。

 Ⅱ誘導は、右上から左下に向かう電位を上向きに描出する誘導ですから、P波もQRS波もⅡ誘導では大きく上向きになります。つまり正常であれば、P波・QRS波ともⅡ誘導では上向き(陽性)で大きく描かれるので、その判別にはⅡ誘導が最適なのです。


この記事はナース専科2017年6月号より転載しています。

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