【連載】早期介入がイイのはなぜ? 重症患者の経腸栄養Q&A

第6回 経鼻チューブか消化管瘻かはどのように決まるの?

執筆 鈴木俊繁

日本赤十字社水戸赤十字病院 救急科部長

Q.経鼻チューブか消化管瘻かはどのように決まるの?

A.経管栄養が4週間以上の長期になる場合は、消化管瘻を考慮します。

患者さんの状態に応じてチューブの挿入先と方法を決定する

 まず、Q5の解説のように、何らかの栄養補助が必要とされた場合は、経腸栄養剤を経口、あるいは経鼻チューブや消化管瘻による経管栄養法(tube feeding)を用いて投与することを考えます。

 気管挿管や気管切開により人工呼吸管理されている場合や、嚥下障害がある場合、脳血管障害や神経変性疾患などにより意識障害や嚥下障害を呈する場合、頭頸部や食道の腫瘍により上部消化管に狭窄がある場合、もしくは頭頸部の外傷などでは、経口摂取が難しい1)ので、経管栄養法が選択されることが多いです。

 経管栄養法は、4週間未満の短期間であれば経鼻アクセスを選択1)します(図1)。経鼻チューブは非侵襲的な方法で挿入・留置できて、不要になれば抜去できるのが利点です1)
 
経鼻・消化管瘻の検討
 
 経鼻アクセスの症例では、挿入されたチューブの先端が胃、十二指腸、空腸の場合で、投与速度などの投与方法が異なることがあるので注意します。
 
 留置が4週間以上の長期になる場合は、消化管瘻アクセス1)(胃瘻や空腸瘻、食道瘻)を考慮します(図2)。

経腸栄養法の種類

 チューブの挿入方法には、局所麻酔で行う内視鏡下の造設術や全身麻酔下の小開腹で行うものなどがあります。患者さんの状態に応じて、主治医と挿入法を決定していきます。


column 消化管瘻にはさまざまな経路と造設術がある
 胃瘻は多くの場合、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG:Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)や外科的胃瘻造設術によって造られます。経皮内視鏡的胃瘻造設術は、内視鏡下で施行でき、解剖学的な問題(胃の腹側に肝臓や横行結腸などの臓器が存在するなど)がない場合は、局所麻酔下で実施できます。

 外科的胃瘻造設術は、全身麻酔下(場合によっては局所麻酔下)で小開腹して直視下に胃にチューブを入れる方法です。

 空腸瘻にはいくつかの方法があります。1つは、PEG の瘻孔からチューブを空腸まで挿入する経胃瘻的空腸造設術(PEG-J:PEG with Jejunal extention)です。また、全身麻酔下で開腹して空腸にチューブを入れる外科的空腸瘻造設術があり、これは古くから行われています。

 このほか、1996 年頃からShikeらによって開発された方法に、内視鏡下で経皮的に空腸にチューブを挿入する17)経皮内視鏡的空腸瘻造設術(Direct PEJ:Direct Percutaneous Endoscopic Jejunostomy)があり、国内でも行われていますが、手技が繁雑で成功率がPEGに比べてやや低く、重篤な合併症を起こす例も知られています。PEGの孔を拡張して内視鏡を挿入して経皮的に空腸にチューブを挿入する方法も試みられています。

 このほか、頸部から経食道的にチューブを挿入する経皮経食道胃管挿入術(PTEG:PercutaneousTrans-EsophagealGastro-tubing)という方法もあり、最近では腹腔鏡下の消化管瘻造設術も行われています。
 


参考文献
1)日本静脈経腸栄養学会,編:静脈経腸栄養ガイドライン 第3版.照林社,2013.


この記事はナース専科2017年5月号より転載しています。

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