【連載】Q&Aで考える高齢患者さんのせん妄ケア

せん妄の評価方法って?

解説 金盛琢也

日本赤十字豊田看護大学 老年看護学 講師 (旧:聖路加国際大学 大学院看護学研究科 老年看護学)

Q.せん妄の評価はどのように行うのですか?

A.せん妄の有無のスクリーニングにはDSTを、症状の程度についてはJ-NCSの評価ツールを用いて評価します。

せん妄であるかどうかを評価する

 せん妄のリスクのある患者さんに対しては、せん妄予防に取り組むことが大切ですが、それでもせん妄を起こしてしまう、あるいは予期せぬ発症はあります。
 
 せん妄が起きてしまった場合には、なるべく早期に発見することが重要です。まずは、せん妄であるかどうかをスクリーニングし、もし発症が認められれば、早期介入することでせん妄の長期化、重症化を防ぎます。
 
 せん妄の評価ツールはいくつかありますが、せん妄の有無をスクリーニングするものにDST(DeliriumScreening Tool;せん妄スクーリニング・ツール)があります(町田いずみ 他,2002)。DSTは日本でつくられたもので、観察によってせん妄の可能性がある患者さんを見つけ出すことができます。一般のスタッフでも日常的に使いやすく、評価時間は約5分、24時間を振り返りながら1日1回行います。
 
 DSTの評価は、(A)意識・覚醒・環境認識のレベルをみる7項目、(B)認知の変化をみる2項目、(C)症状の変動をみる2項目からなります。(A)の7項目のうち1つでも該当すれば、(B)に進み、そのうちの1つでも該当すれば、(C)に進みます。最終的に(C)に1つでも該当すれば、「せん妄の可能性あり」と評価します。 

せん妄の程度を評価する

 DSTによりせん妄と判断された場合、次にせん妄の程度(重症度)を評価するために、J-NCS(日本語版ニーチャム混乱・錯乱スケール)を用います。これは米国の看護師が開発し、日本語に翻訳されたものですが、混乱・錯乱状態の初期段階の症状を発見することに優れており、近年、多くの臨床現場で用いられています。
 
 J-NCSの評価は、認知・情報処理(注意力、指示反応性、見当識)と、行動(外観、動作、話し方)、生理学的コントロール(生理学的測定値、生命機能の安定性、酸素飽和度の安定性、排尿機能のコントロール)の、3つのサブスケールからなり、測定値以外の計9項目を点数で評価します。項目ごとに普通の状態から機能低下した状態までが配点され、0~30点の合計点を4段階に分けて、得点が低いほどせん妄の症状が強い、つまり中等度から重度の混乱・錯乱状態であると評価します。

 せん妄には日内変動があるので、J-NCSを用いて評価する場合は、朝、昼、晩と各勤務帯で評価することが大切です。

評価ツールで得た情報は必ず共有する

 1人のせん妄の患者さんを多くのスタッフがケアすることになる病棟では、各勤務帯のスタッフが同じ物差しで患者さんの状態を理解し、共有していくことが重要です。せん妄の特徴である日内変動を把握して、患者さんを注意深く観察するようにしましょう。

 また、多職種によるせん妄ケアチームが横断的に活動している施設では、その情報をせん妄ケアチームに申し送ることも大切です。特異的な症状については、口頭での申し送りも行います。
 


参考文献
●日本精神神経学会,日本語版用語監修,高橋三郎,他 監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014.
●亀井智子 編著:高齢者のせん妄ケアQ&A 急性期から施設・在宅ケアまで.中央法規出版,2013.
●酒井郁子 他編:どうすればよいか?に答える せん妄のスタンダードケアQ&A100.南江堂,2014.
●八木一馬:入院患者におけるせん妄のマネージメント.みんなで解決!病棟のギモン.レジデントノート 2016;18(9):1758-63.
●林安奈 他:せん妄の鑑別診断と鑑別のポイント.せん妄に対する治療戦略最前線.臨床精神薬理 2017;20(2):149-55.
●粟生田友子 他:らくらくせん妄/不穏 予防・アセスメント・対応マニュアル.BRAIN NURSING 2017;33(3):7-49.


この記事はナース専科2017年10月号より転載しています。

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